Organic Q&A
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昨年までほとんど有機表示だった天恵グループの野菜が、今年は全て(防除3 )になっているのは何故ですか?(2009年12月)
キーワード野菜
回 答表示が変わったのは、天恵グループが2001年から続けてきた JAS認証有機の更新申請を、後述の理由により中止したためです。
栽培方法や考え方はこれまでと全く変わらず、有機的に生産・管理されています。
今期の栽培状況は、コナガ、アオムシ、ヨトウムシ等の食害から作物を保護するため、 JAS有機で許容されているBT剤という微生物菌由来の農薬を、0〜3回使用しています。BT剤は虫や蜂等への影響や、生態系への負荷が少ないとされる防除資材です。(BT:バチルス・チューリンゲンシス)

認証申請中止の理由は、以下のようなJAS認証有機の矛盾が解消されないためです。
有機と慣行の圃場の間には緩衝地帯の設置が必要です。この規定が、認証圃場と同等に有機的管理がされている非認証圃場との境にも一律に適用されます。平坦地で土手などの物理的緩衝がなく、半島で太平洋からの季節風が吹きつけ、有数の冬野菜産地で慣行圃場も多いという立地条件により、緩衝地帯にするため生産できない面積が全圃場面積の20% にも達しています。
また、トラクター等の農機具は、認証圃場と非認証圃場で機械を別にするか、出入りの度に洗浄が義務づけられています。同等の有機的管理をしている隣接の非認証圃場の場合にも適用されます。結果、農機具や収穫容器を2倍用意し、収納庫や出荷施設も拡張が必要になりました。
数度の JAS有機の改訂は、矛盾を解決する方向ではなく、ただ生産者への監視と規制を強め、負担を強いるものになっています。
こうした矛盾は、せっかく育った後継者が地域の後継生産者の間で孤立する要因となり、有機農業の地域への広がりを妨げています。これが認証申請中止の一番の契機です。

3年前成立した有機農業推進法に基づいて始まった、わずか数億円の支援対策が「事業仕分」されてしまうこの国で、有機農業を深化させていく事は中々たいへんです。今回の申請中止は、有機農業を次世代に継承していくために、一度立ち止まって考えるためのお休み期間です。天恵グループの有機野菜を、これからもよろしくお願いいたします。

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