Organic Q&A
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有機農業推進法とは?
キーワード野菜, 果物, 米・雑穀, 暮らし, 表示について
回 答有機農業推進法(有機農業の推進に関する法律)は、2006年12月に超党派の議員立法により成立・施行されました。有機農業について、その基本理念を明らかにし、国及び地方自治体が、農業者・関係者・消費者の協力を得て生産・流通・販売・消費の各側面から有機農業の推進に関する施策を総合的に講じることにより、日本における有機農業の確立とその発展を目指す事を定めた法律です。

日本では、有機農産物と表示できるのは、JAS法が認める認証(有機JAS)を得た農作物のみです。しかし、この有機JASの認定を受けてはいないけれど、化学肥料・農薬不使用で栽培された農作物が数多くあります。こういったことを背景に同法では「有機農業」の定義を「化学的に合成された肥料及び農薬を使用しないこと並びに遺伝子組換え技術を利用しないことを基本として、農業生産に由来する環境への負荷をできる限り低減した農業生産の方法を用いて行われる農業(第2条)」としています。
日本の有機農業者の多くは、これまで行政からの支援を受けずに実践し、また彼らの生産物の価値をきちんと評価する流通団体や消費者との間で発展してきました。しかし、この推進法では、第四条において、「国及び地方公共団体は、前条に定める基本理念にのっとり、有機農業の推進に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。」と、国・都道府県・市町村がそれぞれ行政の中で有機農業を推進しなければならないとしています。

また、有機農業推進法の規定に基づいて、翌年2007年4月27日には、『有機農業の推進に関する基本的な方針』が策定されました。基本的な方針は、「有機農業の推進に関する施策を総合的かつ計画的に講じるために必要な基本的な事項を定め、都道府県における有機農業の推進に関する施策についての計画の基本となるもの」です。
基本的な方針によると、平成23年度(2011年度)までに、下記のような目標設定を提示しています。
・普及指導員による有機農業の指導体制が整備された都道府県100%
・推進計画を策定・実施している都道府県100%
・有機農業の推進体制が整備されている都道府県100%、市町村50%以上

この推進法は議員立法で成立し、策定過程に有機農業実践者が携わっています。行政が一方的にその内容を決めるのではなく、国民の声がふんだんに取り入れられているのです。 さらに推進法では、第四条において「国及び地方公共団体は、農業者その他の関係者及び消費者の協力を得つつ有機農業を推進するものとする。」と謳っています。
つまり、もっと有機農産物を食べたい一般の消費者や有機農産物を扱いたい流通業者、まこれから有機農業に取り組みたい農業者などすべての人の声を取り入れながら、どうすれば日本の有機農業が発展するのかを議論し、その推進計画に取り組む必要があるとしているのです。

この法律は、国民の声を日本の有機農業の発展に大いに活かすことができるものといえます。しかし、同時に国と地方公共団体の責務は罰則規定のない努力義務なので、関係者の積極的な参加がなければ、有機農業の発展は進まないともいえます。日本が有機農業の先進国になるためには、生産・製造・流通・販売・消費者が連携して声をあげ、行政とも連携していく必要があります。

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