Organic Q&A
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高病原性鳥インフルエンザのQ&A
キーワード卵, 畜産品
回 答
      Q.高病原性鳥インフルエンザとは、どのような病気ですか?
      A. 高病原性鳥インフルエンザとは、家畜伝染病予防法で定められている、以下の1)〜3)に述べるA型インフルエンザウイルスの感染による鶏、あひる、うずら、七面鳥の病気をいいます。この病気では、感染した鶏の大半が死亡するなど大きな被害が出ます。ただし、病原性が低いH5あるいはH7亜型感染の場合は、無症状あるいは軽い呼吸器症状や産卵率の低下程度です。
      1)鶏を高率に死亡させる鳥インフルエンザウイルス
      2)鶏を低率ながら死亡させるウイルスで、ウイルス表面のHA蛋白(赤血球凝集素)の特徴と培養細胞での増殖性が、これまでの高病原性鳥インフルエンザウイルスに類似するウイルス
      3)病原性の高低にかかわらず全てのH5あるいはH7亜型の鳥インフルエンザウイルス

      Q.これまでの海外における発生状況を教えて下さい。
      A. 主要なものを列挙しますと、米国(H5N2:1983)、メキシコ(H5N2:1993)、オーストラリア(H7N7: 1975、1976、1983、H7N3: 1992、1994、1997)、イタリア(H5N2: 1997、H7N1: 1999)、オランダ・ベルギー・ドイツ(H7N7: 2003)、香港(H5N1: 1997、2001、2002、2003)、韓国(H5N1: 2003)、ベトナム(H5N1: 2004)で発生がありました。 2004年にはH5N1亜型による発生がアジアの諸国(日本、韓国、ベトナム、タイ、カンボジア、ラオス、インドネシア、中国、マレーシア)で確認されており、ベトナムや中国等では2005年も発生が続いています。
      米国では1700万羽(1983年)、イタリアでは1300万羽(1999)、オランダ・ベルギー・ドイツでは3000万羽(2003)、香港では140万羽(1997)、韓国では185万羽(2003)の鶏、七面鳥、アヒルなどが死亡または処分されました。 2004年の日本の発生例では約27万羽の鶏が死亡または処分されました。

      Q.ウイルスが海外から日本へ侵入するルートには、どんなものがありますか?
      A. 1) 輸入鳥類(家きん、愛玩鳥等)を介して侵入するルート、2) 渡りの水禽類や野鳥を介して侵入するルート、3) 海外の発生国から肉や卵を輸入することによって侵入するルート、4) 海外の発生地からヒトが持ち込むルートが考えられます。
       輸入鳥類のルートでは、鶏等の家きんについては輸入検疫で監視されており、本病が発生した国からは生きた鳥類およびその肉や卵の輸入が停止されています。また、渡り鳥のルートは、鳥やそれらの糞との接触を避けることで、鶏群への侵入を防止できます。また、ヒトが履き物や衣服等にウイルスを付けて持ち込まないように、発生地の農場等を訪問しないことも肝要です。

      Q.ウイルスが農場へ侵入するルートには、どんなものがありますか。
      A.農場への侵入ルートとしては、1) ウイルスに感染している鶏を導入した場合、2) ウイルスに汚染された器材・車両・卵ケースなどを使用した場合、3) 人の衣服、手、長靴などを介してウイルスが持ち込まれた場合が考えられます。また、4) 野鳥が出入りできる鶏舎の場合や屋外養鶏場では、感染した野鳥がウイルスを持ち込む可能性があります。
      ウイルス侵入の機会を少なくするためには、普段からなるべく鶏、器材等の移動は必要最小限とし、消毒できるものは消毒してから、農場に持ち込むようにして下さい。特に、鳥インフルエンザの発生報告があった直後は注意が必要です。また、野鳥が侵入しない鶏舎構造に変える、野鳥の糞で汚染されている可能性がある水や餌を鶏に与えないことも大切です。

      Q.鳥インフルエンザウイルスが人に感染することはありますか?
      A.ほとんどの鳥インフルエンザウイルスは人には感染しませんが、例外的に一部のウイルスが人に直接感染することが最近報告されるようになりました。
      それが、1997年の香港市民の感染(H5N1: 18名が感染し6名死亡)、2003年の福建省に旅行した香港家族の感染(H5N1: 2名が感染し1名が死亡)、2003年のオランダにおける防疫従事者の感染(H7N7: 約80名が感染し1名が死亡)、2004〜2005年のベトナム、タイ、カンボジア市民の感染(H5N1)等です。
      高病原性鳥インフルエンザウイルスに感染した人では、結膜炎、肺炎、多臓器不全などの症状が見られました。

      Q.鶏肉や鶏卵を食べて感染することはありますか?
      A.食品としての鶏肉や鶏卵を食べることによって、人が感染した例はありません。また、発生した場合には、発生農場を中心とした半径5〜30Kmの区域にある農場の生産物は、出荷できなくなりますから、原則として市場に出回ることはありません。

      Q.茨城県水海道市の発生状況を教えて下さい。
      A.茨城県の農場で2005年4月頃から産卵率の低下、死亡羽数のわずかな増加等が確認されたため、5月下旬、民間の検査施設において検査が開始されました。6月24日、A型インフルエンザウイルスを疑うウイルスが分離されたため、25日に動物衛生研究所においてウイルスの同定の検査を開始、その結果26日にH5N2亜型のA型インフルエンザウイルスであることが確認されました。
      25日に茨城県家畜保健衛生所が当該農場及び周辺農場の立入調査を行いましたが、現時点で異常は確認されておらず、このような状況と遺伝子解析の結果等から、ウイルスは病原性の弱いタイプのものと推察されます。
      しかし、わが国では病原性の強いウイルスに変異する可能性を未然に防ぐため、病原性の強弱にかかわらずH5亜型及びH7亜型のウイルスはすべて高病原性鳥インフルエンザとして取扱うこととされていることから、茨城県においては、家畜伝染病予防法及び本病に関する特定家畜伝染病防疫指針に基づき、防疫措置が講じられています。動物衛生研究所では、引き続き、分離されたウイルスの性状の検査を行い、当該ウイルスの病原性等を確認する予定です。(農林水産省プレスリリース(2005年6月26日)より)
       
      Q.茨城県で検出されたH5N2ウイルスはどのようなウイルスですか?
      A. 2005年6月に茨城県の養鶏場で検出されたH5N2亜型の鳥インフルエンザウイルスは鶏に対して毒性の弱いウイルスです。このウイルスは、近年アジアで猛威を振い2004年に山口・大分・京都に侵入したH5N1亜型の毒性の強い鳥インフルエンザウイルスと違って、鶏に高い致死率を示さず、感染した鶏はほとんど症状を示さない、あるいは軽い症状(産卵率の低下、呼吸器症状、下痢等)を起こすウイルスです。毒性の弱いH5N2亜型の鳥インフルエンザウイルスによる人の感染例は世界的にも報告がありません。

      出典:動物衛生研究所ウェブサイト 高病原性鳥インフルエンザのページ 高病原性鳥インフルエンザのQ&Aより抜粋
      http://niah.naro.affrc.go.jp/disease/poultry/tori_influenza.html

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