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有機農業の原点に触れる … 有機農業・有機野菜って、なんでしょう

 

01.有機農業っていったいなんでしょう

  京都大学農学博士西村和雄
  〇はじめに
     
    有機農業とは、いったいなんでしょう。わたしが有機農業や自然農法にかかわってから、およそ30年にもなりますが、この間ずっと有機農業にたずさわりながら考えてきました。

一般的には、有機農業は「農薬や化学肥料を使わず、健康で安全な農産物をつくること」と考えられています。しかし、ほんとうにそれだけでよいのでしょうか。結論からいいますと、けっしてそれだけではありません。では、有機農業とはなんなのか?それを説明するまえに、わたしの有機農業に対する考え方が、どうかわってきたのか、たどってみることにします。

   

 

  有機農業の定義
     
   

むつかしいかもしれませんが、有機農業をどう考えるかは、有機農業を実践するからにはもっともたいせつなことです。

わたしの動機は、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』に出発点があります。虫を殺せる農薬が、人体に安全なわけがない、そういう素朴な考えから、安全な農産物をつくる農法としての、有機農業にのめりこんでいったのです。

そのとき、有機農業の「有機」という言葉は、いったいなにを意味するのだろうと、まず考えたのです。「有機農業」という言葉は、英語の「Organic Farming(オーガニック・ファーミング)」の直訳です。では、英語の「Organic」とはなんだろう。大学の附属演習林に在籍するまえ、わたしは植物栄養学という研究室にいました。わたしの専門は土壌肥料学です。ナントカ学とつくのは、実のところあまり好きではありませんし、大学以外ではあまりたいした意味も持っていません。ま、そんなことは、どうでもいいのですが、ただ、そのころのわたしの知識では、Organic=有機物と、単純に考えていました。

有機物をもちいて地力の維持と増進をはかり、化学肥料を使わずに農業生産が可能な土にすること。それが有機農業だと考えていたのです。

     
  〇私の有機農業観
     
    土に有機物を入れることの意味。それは土の中にいる、いろんな生物の、種類と数をできるだけ多くすることに他なりません。ミミズ、ヒメミミズ、センチュウ、ダニ、トビムシ、バクテリア、カビなど、いろんな生物が住める環境をととのえること。それが、私の有機農業でした。

有機物は、土のなかに住んでいるいろんな生物の、いってみれば食べ物です。人間に好き嫌いがあるのと同じように、土のなかの生物にも、有機物によっては苦手な食べ物もあるのです。

いろんな生物がいて、そしていろんな有機物が土の中に入ってゆくことによって、土は豊かになり、健康になり、それがひいては健康な作物を育てることにもつながるのではないか。そう考えていました。

右に土のなかに住んでいるいろんな生物の例をあげておきましたので、参考までにみてください。

有機物といっても、イネワラ堆肥からバーク(樹木の皮)堆肥、鶏糞や牛糞のような家畜廃棄物、ボカシ肥(※)の材料となる米糠、油粕、魚粉など、クローバ、レンゲ、ソルゴー(イネ科モロコシ属の飼料作物)などの青刈り、刈り敷き用の草など、じつにいろんなものがあります。それぞれ窒素やリンの含量もちがいますし,なによりもちがうのは、有機物の主成分である炭素含量です。こうした成分のちがいによって、有機物の分解の仕方はさまざまにちがってきますし、それを分解してくれる生物もちがってくるのです。
(※)ボカシ肥 … 有機農業では堆肥を土に施すことが大切ですが、堆肥は遅効性でゆっくりと土の中で働きます。これに対して、ボカシ肥は速効性の肥料として作物に有効です。

有機物をうまく使いこなす方法。それが有機農業では、いちばん問われるむつかしいことになります。化学肥料の施肥基準なんぞはまったくあてになりませんし、なによりも作物をよくみて、作物がどういう状態にあるか、なにを欲しがっているのかを見極めるだけの資質と能力が問われます。また、土がどんな状態にあるのか、土がどのていど豊かになっているのか、といったことも自分で確かめなければなりません。

地球上のすべての生物は、人間も含めて、太陽のエネルギーを光合成によって固定してくれる、植物があってこそ、生きていられるのです。いや、生かされているといっても言いすぎではないでしょう。

     
  〇有機農業のめざすもの
     
    わたしたちが無尽蔵にあるとおもって、使いまくっている石油にしても、大昔の植物が固定してくれた太陽のエネルギーです。

今、わたしたちは大昔に土に埋もれてしまった、太陽エネルギーの缶詰を、あちこちから掘り出しては、使っているのです。石炭もおなじことです。現代科学文明が、これほどまでに発達したのは、太陽エネルギーの缶詰を利用できたからに他なりません。しかし、いずれ缶詰は底をつきます。そうなるまえに、もっと有効にゆっくり使うことを考えなければなりません。今、世界中でおこっている環境問題の原点は、太陽エネルギーの缶詰を、浪費することからはじまっているのでしょう。

現代農業は、化学肥料・農薬・耕作機械すべてが、缶詰のおかげでまかなわれているといっても過言ではありません。ひどいことに、作物が固定してくれる太陽エネルギーの量よりも、たくさんのエネルギーをつかっているのです。

有機農業がめざしているのは、エネルギーの缶詰をできるだけ使わずに、太陽のエネルギーだけを出発点とし、食物を生産してゆこうするところにあります。

それはけっして江戸時代に戻れとか、手間のかかる堆肥をつくれとか、ということにつながるものではないのです。そうではなく、篤農家の知恵と技術を、うまくくみこんで、できるだけにエネルギーを無駄使いせずに、効率のよい農業生産をやってゆこうではないかという、あたらしい生き方ではないでしょうか。

有機農業の世界には、病原菌とか害虫、雑草といった言葉はありません。これらの言葉は、作物を害する生物に、人間が勝手につけたのです。そうなるような方法しか、現代農業はできなかったのです。そうではなくて、害虫をタダの虫にする。病原菌をフツーのカビにする。タダの草にするという発想の転換が必要なのです。

森をみてください。自然なかでは、病原菌や害虫、雑草がいるでしょうか。みんながお互いをみとめて,いっしょに生きているではありませんか。え?マツクイムシはどうなるのだって?もし、マツクイムシが日本中の松を食い殺したら、マツクイムシもおしまいです。だから、マツクイムシはけっして、松を全滅させたりはしません。生物は、人間のように残酷ではありませんから、「ぶっ殺してやる!」などという野蛮なことはしないのです。なぜなら「満腹したオオカミは人間を襲わない」からです。満腹しているのに、遊びでほかの生物を殺すのは人間だけです。おまけに同士討ちまでするし、どうやって大量にぶっ殺すかの兵器開発にいっしょうけんめいなのも人間だけです。

地球上のすべての生物には、生きている意味と意義があるのです。そして、生物の世界には無駄はありません。そのことを十分に理解し、人間も生かされているのだという謙虚さを学び、すべての生物とともに共存するという生き方をも身につける実践の場所が、有機農業だとわたしはおもいます。

英語の「Organic」の意味は、決して有機物だけを指すのではなく、地球上のすべてがお互いにつながり、連携しあっているのだということではないでしょうか。

     
    月刊ポラン1999年9月号より転載
 
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