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06.  私と料理酒の出会い

     
    私はかつて水産加工業を営んでいました。主な製品は、アジ、イワシ、コハダ等の「酢の物」でした。当時、加工品に「酒」を使うことは皆無といってよいほど稀なことでしたが、なんとか旧来品とは違う、より美味しい製品にしたいという想いから「酒」を使ってみようと思いついたのです。 しかし、プロ向けの製法指南書を読んで見ても酒を使った製品などどこにも見当たりません。仕方なく一般の料理書を読みあさった結果、高級料理店が「酢の物」を作る時に「酒」を使っている事をやっとつきとめました。色々作ってみると、やはり「酢の角」が取れて優しい味の試作品が出来上がりました。その上「酢の物」の最大の欠点である「身の締まり過ぎ」(堅くなる)を防ぐ効果もあることが判りました。内心拍手喝采だったことを思い出します。
     
   

ところが、どんな酒を使ったら良いのかさっぱり判りません。酒の調味機能がどういうものかをよく知らなかったからです。とりあえず出入りの酒屋さんに「一番安いお酒を探して」と依頼して、確か一升瓶一本が七百円足らずの、茨城県水戸の酒を使う事にしたのです。なにしろ日本一安い酒ですから、まるで水にアルコールを加えただけという感じの何とも頼り無いお酒でした。前回ご説明した(※)「飲むに耐えられない酒」そのものです。それでも毎日築地から鮮魚を仕入れて製造していたせいか、当時としては充分納得のいく製品に仕上がっていたのです。「素材の力」に助けられていたからに他なりません。「レモンじめ」と名付けた製品は順調に売上が伸び、間もなく我社の主力商品に成長しました。「あじ・レモンじめ」という製品で水産庁長官賞を受けた事もあります。私が引退して十年になりますが、名称・製法を引き継いでくれた会社がいまもって作り続けてくれているのは嬉しい限りです。

    (※)05. 「料理酒」ってなあに? の2. 安さだけを目的に造られた、飲んで美味しいとはいえない酒 参照
     
   

しかし、この日本一安い酒にはどうも引っかかるところがあったのです。原材料に米・米麹のほかに「酸味料」「醸造用アルコール」という表示があることでした。その上、下戸の私でさえ「随分水っぽいなあ」と思っていたのです。そうこうする内にあるプロジェクトで、(株)片山の片山雄介氏と一緒に「無添加食品のネット販売」に関わるようになりました。
彼は「醸造と醗酵」こそが和食文化の根幹をなすものだという堅い信念を貫いている酒販業界のエースと言ってよいでしょう。自分の使っている酒が余りにも薄く頼り無いのを気にしていた私は、彼に「酒のエキスは素材の味を良くする」と教えられ、直ぐに切り替えたのです。これが島根県の蔵の加塩料理酒だったのです。さすがに以前のものより遥かに濃厚で、しっかり造られた酒だと感じました。ところがこれには2%程の塩分が添加されていますので、レシピの手直しが必要です。幸い「酢の物」の製造にはかなりの塩を使いますので、下処理を含めて塩の量を減らす事で解決できました。

     
   

ところが振り返って見ると、まだ大きな過ちを犯していたのです。味造りのメカニズムを充分理解していなかったためです。前述した片山雄介氏から、福島県のある蔵が素晴らしい料理酒を二十年も前から造っていると聞かされていたのです。しかし当時私が使っていた加塩料理酒のほぼ二倍の値段と聞いてしり込みしてしまったのです。たとえ価格が二倍でも、使う量が半分で済めば、製造原価になんら影響がないのに。今にして思えば何とも残念でなりません。良い料理酒の条件である「アルコール度数が高く、アミノ酸などのエキス分が多い飲んでも美味しい酒」」ということを知っていれば、たとえ値段が倍であっても切り替えるべきだったのです。

     
    さて会社を整理して、ある資格を取ろうと勉強をしていた頃のことです。5年前になりましょうか。
しばらく疎遠になっていた片山氏から電話がかかってきました。「素晴らしい料理酒が出来たのでプロジェクトに参加してくれませんか」との事。以前彼から聞いていた福島県矢吹町の大木代吉本店が造り続けてきた「こんにちはの料理酒」が大幅にグレードアップしたのだというのです。資格取得にも少々いきずまりを感じ始めていたころでもあり、直ちに参加させてもらうことにしたのです。早速蔵元に関係者一同が集まり、蔵見学をさせてもらいながら、社長や杜氏さんから詳しい説明をきかせてもらいました。そのあと料理酒を使った社長夫人手作りの数々の料理をご馳走になったのです。けっして大向こう受けする味ではありませんが、品の良い心に沁みる優しい味に感動したのを、昨日のことのように思い出します。
     
   

この料理酒の最大の特徴はアミノ酸の含有量が圧倒的に多いということです。我々人類は20種類のアミノ酸が必要だそうですが、そのほとんどの17種類ものアミノ酸を含んでおり、その量も100cc中に560mgと、通常の日本酒(20mg〜200mg)とは比較にならないほどの多さなのです。「酒は百薬の長」ということわざを日々料理の中で体験できる優れものといっても過言ではありません。この料理酒は、大木代吉本店が造り続けてきた「こんにちはの料理酒」(アミノ酸含有量350mg)のアミノ酸をもっと増やせないかというのがスタートでした。片山氏と無添加珍味の開発に取り組んでいた彼の友人の発案です。早速杜氏さんを中心に総力を挙げて研究され、アミノ酸の量を1.6倍にまで引き上げることに成功したのです。
これが「蔵の素」という料理酒なのです。(ポラン広場取り扱い中)

     
    それからというもの、我が家の家庭料理での数々の実験がはじまりました。その結果を一言でいえば「これで一生美味しいものを食べ続けられる」というのが最初の実感でした。文字通り「目からウロコ状態」と言って良いでしょう。その成果については追々お話させていただくつもりです。
   

 

 
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