問題はこの次です。ナスの実がつくと、茎からヘタのところまでへの字型に軸(果梗)が伸びます。実を収穫するときに、ヘタの際で切り落し、果梗をそのまま残しておくのです。
この軸はすごくじょうぶなので、これをフック代りに水平に這ったひもにひっかけておくのです。風でナスが揺れて、フックがハズレないように、フックをひもにくくりつけておくとよいでしょう。
収穫するたびに、フックができるわけですが、ぜんぶをひもにひっかける必要はありません。必要に応じてフックをひもにくくりつけるのです。ひもを水平に何段か張っておくと、フックはどこかにかならず引っかかるのです。
○水やりのコツ
苗を植えたとき、水をあまりやらずに、しばらくは乾燥気味で育てるのがコツです。こうすると、根張りがよくなり、土中の広い範囲から養水分を吸収できるので、生育の盛んなときでも水やりが楽になりますし、元肥もロスなく吸収されるというわけです。
水やりのコツは、土を乾かさないこと。畝の表面が乾いて白くなった状態を続けると、ハダニが発生してくるので要注意です。水分の蒸発を防ぐには、わらや刈り草でマルチをしてやるとよいでしょう。刈り草のマルチは地表を覆うので、草の防除にも役立ちます。ただし、株もとは覆ってはいけません。半径10センチは地面が見えるようにあけておきます。
○ハダニの退治法
ハダニが出てきたついでに、ハダニの退治方法を書いておきます。インスタントコーヒーを霧吹でハダニにかけてください。コーヒーの濃度はアメリカン程度の薄さ。つまりティースプーンすり切り一杯を、小さなカップ(100cc)に溶かします。これをハダニがついている、葉の裏に吹きつけるのです。コーヒーの銘柄は問いません。なにもフリーズドライ製法のを使わなくてもよいでしょう。コーヒーのにおいを嫌がるのと、コーヒーが身体について乾くと、ニチャニチャになって、身動きが取れなくなるようです。そういえば…、我が家のテーブルにこぼしたコーヒーの跡形に、ちいさなハエがニチャッとくっついてもがいてたっけ…。
○元肥と追肥のやり方
根張りのよいナスの根は、地中深く1メートル以上もぐってゆきます。作期が長い作物ですから、畝は大きめにとって、有機質をたっぷりとやっておきます。畝の表面から30センチより下に、ゆっくり分解するタイプの有機質、つまり堆肥をたっぷりとやっておきましょう。
ナスは作期が長く、お盆すぎに切り戻して、もう1回新しい芽をのばすと、おいしい秋ナスが収穫できます。それまでに養分が切れてしまうので、何度も追肥をしなければなりません。追肥はもちろん即効性のボカシ肥にします。畝の斜面や株間に薄くまきましょう。
エッ?刈り草でマルチをしているのに、どうやってボカシをまくのかって?めんどうだと思わない方は、マルチをそっとめくって、ボカシをまき、マルチをもとに戻してもよいでしょう。
マルチの仕方を工夫してもいいと思います。ナスが大きくなって繁ってきたら、マルチを取り除いてもいいでしょう。また、畝の斜面だけにマルチをしておいて、ナスが植わっている畝の上は、幅15センチほどをはじめから覆わなくてもいいでしょう。この株間にボカシを追肥してもいいのです。
保水力のある土では、はじめからマルチも何もしない場合もあります。畝に草が生えてきたら、ボカシ肥を薄く、まるで畝をビニールシートで覆うようにボカシをまきます。こうすると、ボカシ肥が分解したときに出る窒素化合物が直接草に当たるので、枯れてしまうのです。草にたいする対策は、いずれまとめることにしますので、ここではひとまずヒントだけにしておき、先に進みます。
ボカシ肥をあまりやり過ぎると今度は窒素過多になってしまいます。ナスの葉色は紫がかっているので、葉の色ではなかなか見当がつきません。こういうときは、茎の太さにくらべて葉が大きくて厚みがなかったり、実の色付きが薄くて大きくふやけたようになる(ボケナスという)などの現象で気がつくことがあります。
こうした現象はなかなか判断がつきにくいと思います。できたら一本だけ犠牲にして、思いきり養分をやってみたらどうでしょう。そうして、ボケナスになるのを実験されてはいかが。もっとも、他のナスとは離しておかないと、虫(ニジュウヤホシテントウ・ハダニ)がついたり、病気にかかったりしますので、後始末が厄介ですが。
|