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ぐうたら百姓のすすめ … ぐうたらでうまく作物を育てるコツ その3
  10.アブラナ科 キャベツ・ハクサイ
     
   

さて今回は、秋・冬にかけて作付けが多くなるアブラナ科の野菜について話をすすめてゆきましょう。

アブラナ科の野菜は種類も多く、それこそ世界中に広まっています。古くから食用に栽培されており、それが再び野生化したり、反対に後から野菜になったりと、けっこう品種の分化も複雑です。しかも互いに交配しやすく、雑種や中間種がいくらでもできてしまうので、生まれ故郷が特定しにくい野菜になっています。自家採種の時は、交雑しないよう注意しなければなりません。

アブラナ科 キャベツ

キャベツがなかなか萎びないわけは?

キャベツの生まれ故郷は地中海の沿岸、石灰岩の多いところを好んで成育します。野生種は栽培種のように結球することはありません。葉がパラパラと出て、まるでゴワッとした毛のはえていないケールのような印象です。

日本へは明治初期にやってきました。いまでは食卓に欠かせない野菜の一つになっているほど、人気のある野菜ですが、よくぞ普及したものです。それというのも、キャベツは煮ても焼いても(は無理か)というか、煮ても生でもおいしい野菜で、甘みが強く、保存性がいいのが特徴です。

おもしろいことにキャベツは、放っておいてもなかなか萎びてきません。そのわけは、キャベツの細胞が水分を徐々に失いながらも、その分、細胞が小さくなっていつも張り詰めているからです。もちろん限度はありますが、ほかの野菜にくらべて、萎びるまでの期間が長く、ついつい保存していたのも忘れがちになるほどです。でも保存するほど、鮮度とビタミン群は壊れてゆくので、食べるのは早目に。
  
キャベツの生育環境
 
キャベツに適した土壌の酸度は中性に近いかやや酸性で、pH5.5〜6.5くらいがもっともよく育ちます。これより酸性になると、どういうわけか根の抵抗力が落ちてきて、ネコブ病菌がつきやすくなります。ネコブ病は土壌病原菌によって感染する、アブラナ科特有の病気です。ネコブ病菌を防ぐには、なによりも土壌を過湿にしないこと、酸性にしないことが必須条件です。似た名前にネコブセンチュウというのがあります。これも根にこぶをつくり、根菜類をだいなしにしてしまいますが、ネコブセンチュウの方はアブラナ科だけにつくのではありません。 

キャベツは土質は選びませんが、土壌の保水力によって作型がきまってきます。それは砂土のように保水力があまりない土壌では、養分も抜けやすいので、冬・春作を中心とした早生<わせ>種が適しています。早く大きくした方が有利だからです。反対に保水力のある、壌土質(*1)の土では、保水力・保肥力ともにあるので、ゆっくり大きくなる、中生<なかて>・晩生<おくて>種が適しています。
(*1)壌土質 … 小石を除いた土壌中に、粘土をある程度含むもの。作物栽培には好適。

根は表層近くに多く分布しますが、株もとを中心として直径1mくらいの範囲にびっしりと根群をつくります。根群の発達がいいために吸肥力が強いので、養分のやりすぎは禁物です。むしろ前作で残った養分を吸収させ、不足分を元肥と結球開始前に施用するようにした方が、虫も付きにくく、甘みのある良品がえられます。キャベツをつくるのは土壌養分の掃除をかねて、くらいに考えた方がいいのでしょう。

成育の適温は20℃くらい。30℃を越すような高温は苦手で、反対に低温の方がよくて、5℃くらいでもゆっくりと育ちます。0℃では生長こそしませんが、枯死することはなく、マイナス15℃でも平気で越冬します。

いい結球をさせるには、まず

発芽後の双葉が、みるからに分厚くしっかりしていてそろっている苗を選びましょう。そして発芽後、30〜40日くらいの間に定植します。チャボ球(下図)の発生条件を考えると、定植時に気をつけることは、あまり生長のいい大苗をつくらないことと、乾燥しないようにすることです。

故郷を考えると、キャベツは結構乾燥に強いのですが、強いとはいっても、保水力のある土地の方が成育はいいのですから、過湿は例外としても、水分が適度になければキャベツは生長できません。

したがって、乾燥して根いたみが起こらないように、定植は曇りの日を選ぶのがコツです。キャベツをつくった経験のある方なら、乾燥したため根群の発達が悪く、栄養をうまく吸収できなかったことなど、チャボ球ができるのには思い当たることがあるはずです。

外葉が大事なのだ
 
結球するまでのあいだ、外葉、つまり開き切った状態の大きい葉が次々と展開してゆき、発芽後の本葉から18〜20枚で結球が始まります。また品種、つまり早生や晩生にかかわらず、外葉の数は同じなのです。これは重要なので覚えておいてください。

早生と晩生とではどこが違うのかといいますと、早生よりも晩生の外葉は重いのです。その分、葉の充実に養分がいりますし、時間もかかります。そのために結球に入る時期も遅くなるというわけです。

となると、外葉をいかに大きく、丈夫に育てられるかが、良質の球を得るためのコツなのです。これがいかに重要かは、次の事実を考えてもわかります。ときどきヨトウムシに外葉を食われて、葉脈しか残らず、まるで紙のとれた骨だけのウチワのような、悲惨なキャベツを見かけることがあります。こんなになると結球しないのでは、と思われがちですが、そのまま放っておくと小さいながら結球するのです。なぜか?それは葉脈に栄養分がたっぷりと蓄えられているからです。葉脈は貯蔵庫だったのです。むろん葉があるに越したことはありません。葉脈だけになったようなキャベツの結球は売り物にはなりませんから。

結論を申します。「外葉をどれだけ健康に、大きく育てることができるか」で結球の大きさも決まってくるのです。結球前の栄養条件がもっとも重要なので、結球が始まってからの施肥はまったく効果がありません。通常、展開してせっせと光合成している外葉の数はおよそ10枚くらいです。この葉を大切にすることが、コツなのです。

ところで早生の球は小さく、晩生では球が大きくなっていますが、球の中で捲いている葉の数は早生・晩生いずれも同じです。ということは、早生の葉は薄く小さく、晩生では厚くて大きいということなのです。何だか早生だと損したみたいですね。でも晩生ばかりだと産地が片寄るし、なによりもいろんな季節にキャベツが穫れないのです。

播き時も大事なのだ
 
播き時を説明する前にひとこと。キャベツの種は、発芽時に光はいりませんが、酸素を必要とします。早く発芽させようとおもって、潅水しすぎると、土によっては覆土が固くしまってしまうことがあります。こうなるとキャベツの種は呼吸ができないため、発芽しなくなってしまいますので、ご注意を。
 
さて春播きから順に

[春播き]  春に播いて、夏から秋にかけて収穫します。暖地では気温の上昇にあわせて大きくなる中生<なかて>種が向いています。温床に早播きして大苗ができたとしても、花芽がつかないよう低温にさらす期間を避けられれば結球前に花が咲いたりはしません(花芽の分化には10℃以下に20〜30日さらす)。

[夏播き]  夏に播いて、秋に定植し、12月〜3月に収穫します。キャベツは高温に弱いので気温が高い期間は寒冷紗で日よけし、高温を避ける必要があります。

[秋播き]  秋に播種・育苗して定植します。このころにはだいぶ涼しくなっていますし、冬はそのままじっと越冬させるのです。そして春の適温で生長を開始させ、結球させるのです。寒冷地では苗の状態での越冬がむつかしいので、暖地か中間地が向いています。ただし、気をつけなければいけないのは暖冬で、花芽がでてしまって結球しなかったりします。

まとめに
 
キャベツは窒素をかなり多く吸収するのですが、同時に窒素よりもたくさんのカリウムを与えると、順調に健康にキャベツが大きくなるのです。

キャベツの効能はカリウムをたっぷりと含んでいるため、便通が非常によくなることです。尿意を頻繁に催すこともあります。ナトリウムのとりすぎにも効きます。生で食ってよし、煮て食べてもおいしいキャベツは、カブの葉の次に、おすすめする健康食品です。

     
    [見分けるコツ] 
最後にキャベツを見分けるコツをお教えしておきます。まず、キャベツをひっくり返して、芯の切り口を観察してください。芯の周囲に凸凹はあっても全体に対称的な円をえがいていること。養水分の通り道である維管束(直径1ミリくらいでやや黄色い)の太さがどれも同じであって、同じ間隔で並んでいること。次に、芯から放射状に出ている葉の付け根部分が同じ角度で順に出ていること。葉序は8分の3ですから葉の出る角度は135度です。ほぼ同じ角度で葉柄が出ていれば合格です。最後に球の輪郭を見ておきましょう。真上か芯を観察した裏側から、輪郭を見て対称になっていればよろしい。いびつになっているのは、施肥の位置が片寄っていて、根群が片寄って発達したせいです。

でも、八百屋さんの店先やスーパーの売り場で、あんまりキャベツをゴロゴロひっくり返して見ないでくださいね、嫌がられること請け合いですから。さりげなく流し目で観察・選別してください。

   

 

   

アブラナ科 ハクサイ

ハクサイ?それともシロナ?
 
白菜をどう読みますか?ハクサイと答えた方はフツーです。シロナと答えた方はきっと大阪の人でしょう。どちらが本当なのか、迷うところです。ところで当節、漢字が混乱していて白才と書いてあるのをよく見かけます。そういえば醤油がほとんど正油になっています。これなんぞ多勢に無勢で、しまいに間違っているほうが、正しい漢字になるのでしょうか。正油ラーメンなどと書いてある店では絶対食わないぞ!っと。

あっ、話は白菜でした。白菜の正解を説明します。そもそもハクサイは結球しなかったのです。結球せず、しかも葉があまり混みあっていないのがシロナなんです。つまり同根異種というわけです。したがって、白菜をシロナと呼ぼうがハクサイといおうが、どちらも正解なのです。

ではハクサイはどうして結球するようになったのでしょうか。ハクサイを栽培した経験のある方なら、絶対といっていいほど、捲かないハクサイをつくったことがあるとおもいます。そうなんです。ハクサイはキャベツと違って、捲くといったほうが正確なのです。それとハクサイの場合、キャベツのように外葉がいつも10枚あるというものではありません。

いちばん外側の葉から順に、内側に向くほど葉が立ってきて、それが壁をつくってしまって、そのままどんどん押し合いへしあい詰まって捲いてくるので、中心の芽がギュウギュウ状態になってしまったのが、結球ハクサイなのです。

この間ハクサイは、養分と水分を土壌から貪欲にガンガン吸収し続けるのです。同じ結球性とはいえ、キャベツでは結球前後の様相がはっきりと変わるのとは対照的に、ハクサイはとめどなく葉が次々とでてきては、押しくらまんじゅうをやった結果、あーなるなのです。根茎の発達も、がめつさと比例していて、ハクサイの方が深さ・広がりすべてにおいて、キャベツを凌駕しています。

ハクサイはどう進化したか
 
ハクサイの原産地は北東ヨーロッパ・ロシア・トルコ・イラン高原あたりといわれています。ちょっと原産地の場所が広すぎるのでアヤシイのですが、ま、広がりすぎてわかんなくなったのかもしれません。キャベツよりはずっと寒いところにいたということは確かなようです。中国へはシルクロード経由か蒙古によってもたらされたらしく、中国へ入ってからいろんな品種に分かれました。中国が育ての親というところでしょうか。

冬期に貯蔵できる野菜として重要であったため、貯蔵性の高い、大型で多収性の晩生種の栽培が必然的に増えたのです。なかには長さ60センチ以上でゴワゴワした粗くて固い品種もあります。山東菜もそれに近い品種で、半結球性です。

日本へは、明治8年、山東菜がやってきたのが初めて。以降、何回も導入されて、日本人好みのハクサイになっていったのです。

[分類すると]
不結球型 … シロナ
半結球型 … 山東菜が代表的。長さ30〜60センチ、細長い円筒型で葉の先はボワッと広がっていて、交互に内側へ織り込んではいません。
結球型…葉先の織り込みぐあいで、抱合型・包被型・包被捲心型などがあり、この順に巻き込み度がすごくなります。

ハクサイの成育環境
 
種子の発芽温度は4〜35℃まで。成育の適温は18〜22℃で、キャベツよりも冷涼な気候を好みます。したがって、秋冬にもっとも成育が旺盛となります。平均気温が10℃を下回るころから成育は徐々に低下します。低温には強い作物でもあります。ちなみに結球の適温は6〜15℃で4〜5℃になると結球は止まります。12℃以下の低温に一週間以上あうと花芽が分化し、その後、春になって高温・長日条件にであうと抽苔(*2)します。
(*2)抽苔<ちゅうたい> … 花芽のついた茎がニューとのびてくること。ネギの場合はネギ坊主。

粘土質で肥沃な土壌を好みます。成育にもっともよい土壌酸度はpH6.5〜7.5。根群の発達はきわめて旺盛で、太い主根がでると、これにやや太めの支根と毛根が多数つき、根の達する深さは1m、幅は直径3mにも達します。

葉序は5分の2で、葉と葉の角度は144度、キャベツよりは広いのですが、キャベツと違うところは葉柄が幅広いことです。付け根までベタッと広いため、これが押し合いへしあいすると、たちまちギュウギュウ詰めになってしまうのです。

ハクサイの生育を観察してみると
 
ハクサイの種子は播種後2〜3日で発芽、このあとの一ヶ月間は、何と一日平均で0.7〜1枚の葉が中心部の芽のところで分化してゆきます。何というオソロシイ速さでしょう。さらに30日ころには、もっと速くなり、一日平均で1.5〜2枚という、おどろくべきスピードで次々と葉が分化してくるのです。このころから結球態勢を取りはじめます。とり始めるというか、葉が次々と大きくなるので押しくらまんじゅうが始まるのです。そしてギュウギュウ詰めていった結果、40〜45日で結球が始まり、とうとう真ん中がギッシリとつまってしまったのです。これを図にかいておきます。

     
   

     
   

外葉が18枚目(ちょうど播種後30日)で葉が立ち上がってきます。つまり18枚目までが外葉ということになります。1から18枚目までの外葉では、外側がもっとも古く、中になるほど若いわけです。いちばん外側の葉が枯れると、次の葉が内側から開いて大きくなります。誤解のないように書いておきますが、真横にひろがって光合成をどんどんしている葉はそんなに多くはありません。立ち上がって内側に捲きはじめると、そんなに多くの光合成をできるわけではないのです。したがって外から8枚目くらいの葉がもっとも大きく、かつ光合成も盛んになります。葉の立ち上がりは、結球の合図ですから、このころまでに、どれだけ大きな外葉をつくれるかが、大きい結球を得ることにもつながるのです。
 
外葉の重要性は、球の硬さ、つまり充実度にも影響します。外葉が硬いと、内側の葉は伸びようとしても外葉の葉柄に抑えられるので、結局伸びきらずに横へ左右に伸びようとします。これが次々に続くわけですから、外葉の壁が硬くて強いほど、結球は充実するのです。

     
   

     
    その他気をつけること
 
よく、ハクサイの白い葉柄部分に、黒いゴマ粒ほどのシミができているのを見かけます。ゴマ症といいますが、これがでる原因は窒素の過多です。つまり硝酸態窒素が多すぎたために発生します。これがでてきたら窒素のやりすぎだと思って、次回からはひかえめにしましょう。

キャベツのところでも説明しましたが、ハクサイもネコブ病は大敵です。でやすい土壌条件を書いておきますと、pHの低い圃場<ほじょう>・しまりやすく通気性の少ない圃場・地下水位の高い圃場などで発生が多く見受けられます。あとは生育途中での高温です。

以上の土壌条件を考えてみますと、やはり土の育てかたが足りないのではないでしょうか。土の健康あってこそだと思います。では、ハクサイが育ちやすい土壌とはいったいどんな条件なのでしょう。

肥沃で耕土が深く、膨軟な土。それを高畝(平畝の高畝)にする。これは水はけがよくて保水力もあるという土の意味です。

また前作がキュウリ・トマトの後につくるのがよく、ジャガイモやカボチャの後作では出来が悪くなります。これは、土壌に残存する養分の量とも関係するのではないでしょうか。どういうことかというと、トマト・キュウリは養分吸収が弱い作物なので、土の中にかなりの養分が残っています。そのあとに養分吸収力の強いハクサイをつくると残存養分を吸い上げるというわけです。一方、ジャガイモやカボチャのように養分吸収力が強い作物の後作では、ハクサイ用に養分が残らないので出来が悪くなります。このように土壌に残存する養分の量と関係しているので、前作でつくった作物の性質を考えて後作の作物を選ぶ必要があります。

     
 
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